それでは『旧三河島汚水処分場喞筒場施設』をトコトン紹介していきましょう!
見学前にまず全体説明
誰もがご存知東京都荒川区には可愛らしい電車である都電荒川線が走っています。
そんな都電荒川線の「荒川二丁目駅」のすぐ目の前に広大な敷地を有する下水道処理施設が広がっていることを、
みなさんは知っていましたか?
今回は国指定重要文化財にも指定されている『旧三河島汚水処分場喞筒場施設』を見ていきたいと思います!
見学に訪れる前に1つ事前にやっておかなくてはいけない事があります。
それは、電話・ネットからの事前予約申請です!
「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」は完全予約制の見学施設となっているため、
予約をしていなければ中に入れてもらうことはできません!
(ただし当日空きがあれば可能)
インターネット予約はこちら!
今回は予約時間の15分ほど前に到着してしまったのですが、
正門の脇から「〇〇様ですか?」と声をかけて頂き施設内へと案内して頂きました。
この日は自分しか見学者いなかったようでマンツーマンでの説明会となりました!
(自分だけのために大変お手数おかけいたしました。。。)
まず最初に案内されたのは施設全体の管理や事務室が置かれている事務棟です。
事務棟の入り口を入り正面には『マンホール広場』が!
東京都で使われていた、使われているマンホールの数々!
「このマンホールはこの時代に」「このマンホールはああいう秘密が」などなど。
まだまだ入り口入っただけですがここだけでも15分ほど解説して頂きました!
「マンホール広場」を後にして事務棟奥の会議室のような場所に通されます。
そこには10台ほどの長机が並べられており、正面には大型テレビ、
一箇所だけに資料やグッズなどが置かれていました。(自分だけのために)
「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」のパンフレットや絵葉書、マンホール蓋のシール、東京オリンピックでの残り物。
そしてこの見学を申し込まないともらえない『マンホールカード』となっています!
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【マンホールカード NO.50】三河島の水再生!(東京都荒川区)
こちらの記事では『東京都荒川区のマンホールカード』についてまとめています。今回は記念すべき50回目!見学しないともらえない「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」のマンホールカードについての記事となっています。
この記事の他に見学の感想もまとめていますのでぜひどうぞ!続きを見る
この後20分ほど「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」がどんな役割、どんな仕組みをしているのかのビデオを見るのですが、
その前に案内していただく方がこんなことを言っていました。
案内「時間が無いようでしたらここまででも大丈夫ですよ?」
自分「なんでですか?」
案内「最近マンホールカードやグッズだけもらって見学はいいという方が多いもので。もしそのようなら。」
とのこと。
せっかく予約して「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」側も多くの人に施設の素晴らしさを知ってもらうために時間を準備して頂いているのに、
見学拒否なんんて言語道断だと思いません?
当然ビデオも見ますし見学続行です!
外へ出て敷地内見学開始!
まず初めに足を運んだのは先ほど「〇〇様ですか?」と声をかけられた正門付近。
「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」は全体的に国指定の重要文化財に設定しておりますが、
唯一先ほどくぐった正門は指定外なのです。
なぜなのか?
それは昭和初期に利用されていた正門は狭すぎて大型車が通れないということで、
昭和63年より拡張工事が施され姿を変えてしまったからなのです。
続いては正門からまっすぐ北へ100mほど歩いた場所に見えてくるのは、
写真左のレンガ造りの四角い入口阻水扉室上屋、
写真中央にあるフェンスに囲まれた窪んでいる場所である沈砂池、
その奥にある平屋のレンガ作りになっている濾格室上屋。
現在はもう使われてはいませんが昔と変わらぬ状態で今もなお保管されています。
旧三河島汚水処分場喞筒場施設の歴史
- 大正3年(1914年) 三河島汚水処分場喞筒場施設の建設を開始
- 大正11年(1922年)3月 三河島汚水処分場喞筒場施設の運転開始
- 昭和11年(1936年) パドル式活性汚泥法(汚水の中で水車を回転させ空気を含ませながら処理を行う方法)にて運転開始
- 昭和36年(1961年) 散気式標準活性汚泥法(汚水中に沈ませたパイプより空気を放出し処理を行う方法)にて運転開始
- 平成11年(1999年) 三河島汚水処分場喞筒場施設の稼働を終了
- 平成19年(2007年)12月4日 日本最古の近代下水処理施設として国の重要文化財に指定
- 現在 ほぼ全ての施設が見学可能となっている
入口阻水扉室上屋
ひとつ前の写真にも写っていた『入口阻水扉室上屋』では、
施設に流れ込んでくる2本の大きな下水道管に設置されている開閉扉を操作する場所となっており、
メンテナンスを行う際に扉は閉められます。
入口阻水扉室上屋は大正10年建てられたようです。
沈砂池
「入口阻水扉室上屋」の先にあるのは『沈砂池』となっています。
東側と西側に1本ずつある「沈砂池」では名前の通り砂を沈める池となっており、
下水を池の中で長時間停滞させ砂など重さがあり比較的大きなゴミを沈めて処理していきます。
濾格室上屋
「沈砂池」の一番奥で待っているのは『濾格室上屋』となっています!
「濾格室上屋」では「沈砂池」にて底部分に溜まった砂などのゴミを取り除いてくれるスクリーンが設置されています。
取り除かれた砂などのゴミはここからトロッコに乗せられ運び出されていたようです!
「インクライン用電源機室」も残っており、今でもその名残が所々で見ることができます!
東京駅との共通点も?
上記の写真で見てきた煉瓦の建物、なんだか東京駅と似ていませんか?
そうなんです!
東京駅で使用されているレンガと同じ「品川白煉瓦」様の煉瓦を、
「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」でも多く利用しているのです!
さまざまな試行錯誤の末、完成した煉瓦だけあり現在でもほとんどの建物で確認することができます。
地下にも行ってしまいます!
「濾格室上屋」を通過した下水が「喞筒室」へと進む間にある『喞筒井及び喞筒井接続暗渠』となります。
ここからはヘルメットを被り地下へと潜っていきます。
案内のおじちゃんについて階段を降りると天井低めのトンネル(下水管)への入り口が現れます。
ライトをつけて中へ入ると、
床一面に煉瓦が敷き詰められており、使用していた当時からほとんど姿を変えていません。
奥に進むと「濾格室上屋」からつながるもう1本の下水管とY字で合流し、
ここから喞筒室までは1本の下水管で流れ込んでいきます。
「喞筒室」のほぼ真下まで下水管を通ってやってくると、
どこのポンプに下水を流すか調整するための「喞筒井阻水扉室」が現れます。
上の写真の解説に載っているように漢字の『天』のような通路となっており、
「天」の下の部分から逆Y字で合流し、
上の左右に2本ずつ4方向に分かれる管へと下水の経路が分かれるようになっています。
4つの経路の入り口には非常に分厚い扉が設置してあり、
入水量によって扉を開け閉めし、ポンプ室に大小10台設置してあるポンプの内一番効率のいいポンプ稼働して調整しています。
大きな扉には鍵などはついていませんが、
写真の位置から下に下ろすと経路の口をほぼ塞ぎ水圧によって完全にシャットアウトできる仕組みになっています。(パワー)
扉は過去何十年も使用されてきた物がそのまんまの姿で残されています。
「天」の右側1番奥まで進むと、たどり着いた下水を吸い込むポンプがデカデカと現れます。
上からは光が差し込みポンプを真下から覗き込むことができます。
ポンプの位置が真ん中では無いのは渦を巻きながらより効率的に吸い上げる工夫なのですよ!
メインのポンプ施設へ
次に足を運んだのは先ほどしたから見上げたポンプの真上の部屋『喞筒(ポンプ)室』となります!
屋根がアーチ状となっており、支えている柱が1本もない「トラス構造」を採用しています。
この「トラス構造」は群馬県内でも有名な「富岡製糸場」でも採用されていますよね!
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【世界遺産なの?】入場料はちと高め?でも見応え抜群「富岡製糸場」
こちらの記事では『富岡製糸場』についてまとめています。
無料駐車場からはちょっと歩き、入場料もちょっぴり高めの1000円。意外にも世界遺産に登録されているとか?
VAN-LIFE(バンライフ)で経験したことを元に作成しております。個人的な意見が多くなっていますが参考にして見てはいかがでしょうか!続きを見る
そして、ポンプ室には全10台の緑色のポンプが1列に並んでいます。
こちらで見ることのできる10台のポンプは開業当初のものではなく、
1964年以降に設置したものとなっており、2台目以降のものとなっています。
汚水ポンプの前まで行くとその大きさに驚きます。
高さは1つ4mほどあり、ポンプの直径は人が一人スッポリ入ってしまうくらいです。
(意外に大きく無い気も?)
そもそもポンプ室は3面が分厚い壁、1面がガラス張りの建物。
一体こんなに大きな機械が故障したときはどのように交換しているのでしょう?
揚重機
ポンプ室の全体を眺めることのできる2階へと登っていきますと、
天井付近に超重量級のポンプ装置や変電気の搬入に使用される『揚重機』が目の前に!
2階の大きな扉から搬入された機械は、「揚重機」に釣られ、
左右の壁際に設置されているレールを走り、ポンプ室中央まで大きな荷物を運びます!
大正9年ごろにはあった揚重機に使われていたレールは、
当時は国産の品質が低く、アメリカから輸入していた時期もあったりします。
ベンチュリレコーダー
デジタル化されるかなり昔からある下水処理施設となっているため、
吸い上げるポンプを選択するための水圧を測るのも全てアナログ式となっています。
そんな水圧を数値で確認できる装置がポンプ室内に2台設置されている『ベンチュリレコーダ』です!
イギリスのジョージ・ケント社から買い入れ、昭和30年(1955年)にはこの装置が写真に収められています。
右側の写真にはベンチュリレコーダの仕組みが数式として示されています。
完遂!
こちらで見学会は終了となります。
案内して頂いた方は非常にフレンドリーなおじさんでなんでも質問に答えてくれました!
次の時間帯の見学者がいなかったようで1時間ほどオーバーで全過程終了となりました。
大大大満足でもうお腹いっぱいです!
『旧三河島汚水処分場喞筒場施設』の詳細情報
住所 | 東京都荒川区荒川8丁目25−1 |
営業時間 | 9:30~16:30 |
定休日 | 火曜日 金曜日 年末年始 |
駐車場 | なし |
アクセス | 都電荒川線 荒川二丁目駅より徒歩3分 |
お問い合わせ | 03-6458-3940 |
WEBサイト | 東京都下水道局 |
今回のまとめ
最後のまとめに『GOOD&BAD』のコーナーです!
GOOD
ほぼマンツーマン状況で見学可能(予約状況によるが)
壮大なポンプ施設!
地下まで探索!
BAD
事前予約必須
今回のPlace Points〔総合点〕は、、、
5.0
そして、
今回の使用金額は、、、
0円でした!
車中泊をする際はくれぐれも周囲に迷惑をかけることなくマナーを守り楽しみましょう!